未来に繋がる香川へ
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香川県伝統工芸士 神内俊二さん
2012年12月 4日
「日本の歴史や文化を継承するためにも鬼瓦を後世に残していきたい」
Profuile 50
今回、お話をお伺いしたのは・・・・香川県伝統工芸士 神内俊二さん
かつて、家を建てる際には、大工さんや左官さん、建具師さんや装飾瓦職人など、いろんな職人さんが活躍していました。かつて魔除けや守り神として使われていた鬼瓦を専門に作る道具師さんが、装飾瓦職人です。
香川県内には、奈良・平安・鎌倉・室町時代の窯跡が数多く発見されており、江戸後期から、民家の屋根にも瓦が普及し始めて、屋根に鬼瓦が置かれるようになったようです。今回は、讃岐鬼瓦を30年以上創り続けている香川県伝統工芸士の神内俊二さんに話を伺いました。
Q:鬼瓦を創るようになったきっかけは何ですか?
- 30年以上前にさかのぼるのですが、それまでは飲食業界で働いていたんです。
でも、飲食業は自分に合っていない部分があって、最終的にはお店をたたむことになったんです・・。
そんな折、瓦屋を営む親戚に知り合いの瓦屋さんを紹介されたんです。
でも、「この仕事はめんどいから、おまえにはできんぞ!」と言われましてね・・・。
その言葉に腹が立ち、意地になって始めました(笑)。
今から思うと、飲食業とは全く違う業界に行って、別業界で活路を見出そうとしたんだと思います。
神内さんが作られた鬼瓦
Q:鬼瓦創りに携わってみて、どうでしたか?
- 仕事ってこんなに面白いのだということに気づかされました!寝るのがもったいないくらい楽しかったですね。
鬼瓦は粘土を成形して乾燥させ、窯で1回焼いて、燻して創るのですが、没頭しました。性に合ってたんでしょうね。
1年間の修行期間を経て独立したのですが、その頃は建築ブームだったこともあって、製造が追いつかないくらい需要がありましたよ。
Q:7月に粟島で鬼瓦のアート作品を展示されたそうですね。
- 粟島AIR(アーティスト・イン・レジデンス)の一環で、第4回粟島芸術家村滞在作家展が開かれたのです。
粟島は、60年程前までは瓦の産地で、質の良い瓦が創れる粘土が摂れていた島なんです。
ただ、粘土を摂ったり瓦を作る作業は全て手仕事で、採算が取れなかったようです。
その内、海運業が盛んになり、粟島に設立された海員学校を卒業して航海士になる人が増え、瓦作りがすたれてしまったみたいです。
そんな歴史を持つ粟島には、かつて鬼瓦を焼いていた窯が残っています。その窯を使って鬼瓦を焼きたいという思いを持つ田村友一郎氏から連絡があって、その窯を復活させて鬼瓦を焼こうという話になったのです。
島の西浜地区に、全国に数基しか残っていないだるま窯(だるまさんが座ったような形の窯で三豊市の重要文化財に指定)があり、その窯で焼くことに。この粟島AIRをきっかけとして、かつて瓦の産地として有名だった粟島を鬼瓦の島としてもう一度蘇らしたいという思いを抱いています。
粟島に残っている瓦を焼いていた窯
第4回粟島芸術家村滞在作家展で展示された神内さんの作品
Q:今後、どのようなことに取り組む予定ですか??
- 瀬戸内芸術祭に出品できればと思っています。粟島には、山の中に石造りの33観音がぽつぽつとあるんですよ。その33観音に由来する鬼瓦を作って、その鬼瓦を島の民家の屋根に飾りたいなあと思っています。
そして、粟島を訪れた人たちが作品を見て楽しめるように鬼瓦を飾りたいですね。それがきっかけで、粟島に足を運んでくれる人が増え、地域の人々との交流が生じたら本当にうれしいです!
神内さんが作られた鬼瓦うどん鉢
粟島のどっきりするヒミツをご紹介♪
☆ヒミツ1:
粟島から2キロ先に二面島(ふたごじま)という小さい島があります。
昔から航海が盛んで、海賊の島だったという伝説が残っているんです!
海賊が二面島の浅瀬に船を追い込んで、略奪していたのだそう。
その名残として、『船隠し』という地名があります。
島のてっぺんで船が来たことをのろしか何かで伝え、船隠しという場所に
船を海賊が隠していたと言い伝えられているんですよ。
☆ヒミツ2:
二面島は、そばと引き換えに多度津町の持ち物になったそうです。
そのため、『そば替え島』という別名を持つのだそうです!
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神内 俊二 さん
Prof ile
昭和26年1月1日生まれ。高松市出身。
飲食業界で10年間働いた後、瓦づくりの道に。
屋根道具師(鬼瓦職人)として経験を積み、鬼瓦アートの活動を始めた。
平成22年度香川県県産品コンクールで鬼瓦さぬきうどんの器で最優秀知事賞を受賞。
讃岐装飾瓦onuma
住所:香川県木田郡三木町池戸1046
TEL/FAX: 087-898-4156
http://www1.ocn.ne.jp/~onuma/
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